プラスチックっておもしろい

プラスチックは、私たちの暮らしの中のさまざまなシーンで活躍しています。テレビやパソコン、文具、オモチャ、自動車部品、ペットボトル、ポリ袋などなど、数え上げたらきりがありません。それだけ、世の中に必要とされている素材と言えます。こんなに身近にあるプラスチック、でも、意外と知らないことも多いかもしれません。このサイトでは、プラスチックの歴史や、種類、作り方、未来などを、わかりやすく紹介していきます。

プラスチックは、いつ生まれたの?

いまから、およそ170年前。1835年、フランスの科学者ルニョーが、塩化ビニルとポリ塩化ビニル粉末を発見したのが、最初と言われています。初めて商品化されたプラスチックは、1869年にアメリカで開発されたセルロイドです。高価なビリヤードの象牙玉に変わる素材を公募したところ、印刷工ジョン・W・ハイアット氏が発明し、彼の製造会社の商標として“セルロイド”が登録されました。セルロイドは、加熱すると軟らかくなり、さまざまな形にも加工することができ、人形、オモチャ、文具などの成形品から写真や映画のフィルムなど多くの分野で活用されるようになりました。しかし、とても燃えやすい特性を持つため、今日では他のプラスチックにその主役の座を譲っています。

プラスチックって、どんな性質?

私たちの生活や産業に無くてはならない、プラスチック。なぜこれほどたくさん使われているのでしょう。それは、プラスチックには、次のような特性があるからです。

  • ●電気を通しにくい
  • ●錆びない
  • ●着色が自由にできる
  • ●複雑な形状も容易に加工できる
  • ●衛生的
  • ●軽い
  • ●大量に安くつくれるなど。

また、プラスチックは、金属などに比べて便利な反面、欠点もあります。

  • ●熱に弱い
  • ●強度、剛性が低い
  • ●表面が軟らかい
  • ●ほこりが付きやすい
  • ●薬品や溶剤に弱い

プラスチックって、どうやってつくられるの?

プラスチックは、ご存じの通り原油が原料となっています。
【原油】→【石油精製工場】→【ナフサ】→【プラスチック原料】→【プラスチック加工】→【プラスチック製品】という流れで、プラスチック製品が誕生します。

「原油」を、石油精製工場で熱して、気体になる温度の差を利用して、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油、アスファルトに分けます。プラスチックは、この中の「ナフサ」からつくられます。

さらにナフサに熱を加えて、「エチレン・プロピレン(気体)」「ベンゼン(液体)」など、プラスチックのもとになる製品原料がつくられます。これらは、水素と炭素が結びついた分子です。この分子をつなぎ合わせて「ポリエチレンやポリプロピレン」などの、プラスチック原料がつくられます。

これらのプラスチック原料に、柔らかくしたり、壊れにくくしたり、着色するための添加剤を加えたものを「ペレット」と言います。

このペレットを、成形機という機械に入れます。成形機の中で原料を熱して、金型(つくりたいカタチの型)に流し込み、冷却させます。固まったものがプラスチック製品となります。

プラスチックには、どんな種類があるの?

プラスチックは成分によって、たくさんの種類があり、それぞれ性質も違います。例えば、身近にあるペットボトルには、ポリエチレンテレフタレート樹脂が使われていて、略してPETと呼ばれています。ペットボトルの名前は、まさにこのPETからきているのです。透明で、薬品に強い性質を持っています。ポリ袋は、低密度ポリエチレンが使用されています。これも、“ポリ”からきた名前ですね。水より軽く、薬品に強い性質があります。

※表は、左側へスライドしてご覧ください

プラスチックの名前 略号 使われているもの 性質
ポリカーボネート PC CD、携帯電話など 透明で、熱に強い
アクリル樹脂 PMMA メガネやコンタクトレンズなど 透明で、強い
ポリアミド PA ファスナー、レトルト食品袋など 丈夫、酸素を通さない
ポリプロピレン PP 台所用品、クルマの部品 熱に強く、艶がある
低密度ポリエチレン LDPE ポリ袋、食器容器など 軽く、薬品に強い
高密度ポリエチレン HDPE バケツ、パイプ、網など 衝撃に強い
ポリスチレン PS コンピュータ、テレビの外側など 透明で、堅い
AS樹脂 SAN 調味料容器、使い捨てライターなど 透明で、傷つきにくい
ABS樹脂 ABS 家具、パソコンなど 不透明、熱に強い
塩ビ PVC 手袋、コード、フィルムなど 燃えにくく、丈夫
ポリエチレンテレフタレート PET ペットボトル、卵のパックなど 透明で強い

プラスチックの、未来は?

熱に弱い、強度が足りないなどのプラスチックの短所も、技術の進歩によって改善されてきました。また、他のプラスチックとのブレンドやガラス繊維、鉱物とのブレンドなど他素材との複合化をすることにより、それぞれ特性がより向上され、今日ではプラスチックの用途がさらに広がっています。例えば、いままで金属だったクルマのエンジンの部品や、携帯電話の中に入っている小さなアンテナ、髪の毛の太さの50分の1の小さな精密機械の部品などに、プラスチック加工の最先端技術が注がれています。これからは、さらにナノテクノロジー(十億分の1メートルを制御する技術)により、今まで考えられなかった分野への応用が、期待されています。